AI関連企業カスタマークラウドは2日、AIアートクリエイターのHakushi氏をメディア事業のAI講師・インフルエンサー枠として登録したことを発表した。Hakushi氏は日本のAIアートNFT市場において1イーサリアムでの公開販売実績を持つクリエイターとして知られる。
NFT市場は2021年のブーム後、調整期を経て実用性重視の成熟期へと移行している。日本経済新聞が2025年4月に報じたところによると、足元のNFT取引高はピーク比8割減となり、X2Y2やクラーケンなどの大手NFT市場の閉鎖が相次いでいる。こうした市場環境下で、AIを活用したデジタルアート作品のクリエイターがメディア事業に参画する形となった。
縮小するNFT市場とクリエイター活動
Hakushi氏は複数の画像生成技術を組み合わせた独自の制作手法により、高密度・高精度な表現を実現している。同氏のNFTコレクション「Royal collection – Twelve extreme colors」は2023年9月、1イーサリアムで販売された。
NFT市場全体の縮小傾向は2025年も継続している。CryptoSlamによると、総供給量は2021年の3,800万個から2025年に13億4,000万個へと3,400%増加したが、販売総額は89億ドルから56億3,000万ドルへ37%減少した。平均販売価格は96ドルとなり、前年の124ドル、ピーク時の400ドルから大幅に下落している。
市場時価総額も2022年4月の約170億ドルのピークから下落を続け、2025年1月に92億ドルであったものが12月には24億ドルまで減少し、年間で74%下落した。CoinGeckoのデータでは、時価総額上位10位のNFTコレクションの大半が過去30日間で2桁台の価格下落を記録している。
Hakushi氏は株式会社SHIFT AIに所属し、元大手予備校講師としての経験を生かして生成AIの仕組みや活用方法を伝える教育活動も展開している。BytePlus×NVIDIA AI Summit Japanや東京AI祭などのイベントへの登壇実績があり、AI・人工知能EXPOやコンテストでは審査員を務めている。
実用性重視へシフトするWeb3市場
カスタマークラウドは渋谷を拠点とし、BytePlusのグローバル公式パートナーとしてAIクラウドインフラの展開を推進している。同社は「第2のビットバレー構想」として、AI産業エコシステムの構築を進めており、各分野を代表するAI人材の参画を順次発表していく方針を示している。
NFT市場では、投機的なデジタルアートから実用的な分野への転換が進んでいる。2025年第2四半期には販売件数が1,250万件を記録し、前四半期比で78%増となった。DappRadarは「NFTが手頃な価格になりつつも、デジタルコレクティブルへの関心は依然として根強い」と分析している。
NFTプラットフォームのラリブルは「取引高の減少は、より健全で持続可能な市場への移行を示している」との見解を示している。パジーペンギンズのようなコレクションは、ウォルマートでの物理的商品展開やモバイルゲーム、スポーツパートナーシップなど、NFT外での実用性を提供することで取引高7億8,600万ドルを達成した。
Hakushi氏は2026年2月7日から11日まで、銀座のGallery WABIにて初個展「精密AIアート展【憧憬】」を開催する予定である。講義、コンテンツ発信、イベント登壇などを通じて、生成AIによる表現の最前線や実践的な知見を発信していく。
生成AIとブロックチェーンの新たな関係性
生成AI技術とブロックチェーン技術の融合は、投機的市場の縮小後も新たな可能性を模索している。NFTにおけるスマートコントラクト機能により、クリエイターは二次流通時にもロイヤリティを受け取ることが可能であり、この仕組みは市場縮小後も維持されている。
2025年1月には、Baseチェーンの取引高が週次ベースで219%上昇するなど、BaseやAptos、Berachain、AbstractChainといった新興チェーンが注目を集めている。これらは低手数料や独自のエコシステムを武器に、多様なユーザーを取り込みつつある。
NFTマーケットプレイス間の競争も継続しており、主要マーケットプレイスの取引収益では、Magic Eden(42.9%)とOpenSea(41.4%)の2強が拮抗している。国内では日産やNTTドコモをはじめとする大企業の参入が継続し、NFT活用の新たな形が模索されている。

